【書評】乱反射
本日読み終わったのはこの本、貫井徳郎さんが執筆された乱反射です。
貫井徳郎さんの作品では個人的にデビュー作の慟哭が好きですが、これはそれに匹敵するくらいの作品だと思いました。
物語は主人公の子供が亡くなってしまった所から始まります。
主人公は新聞記者なのですが、子供の死亡原因を調べていくうちに複数の人間の些細な悪意が合わさった結果、亡くなってしまったことが判明していくというストーリーです。
この本は全600ページ超えの厚い作品でしかも登場人物が結構多いので、読むのを中断すると登場人物がわからなくなる恐れがあるのが難点です。
ですが、それぞれの登場人物達が些細な悪事を働いた結果、最終的には酷いピタゴラスイッチが作動し子供が亡くなる様は読んでいてドキドキします。
総じて読みごたえのある作品ですが、読んだあと若干嫌な気持ちになるため、気分が沈んでいる時は読まない方がいいと思われます。
以下ネタバレ注意です
個人的に印象に残っているのは、主人公が悪事を働いた人にそれぞれ会いに行くも誰も主人公に謝らないところです。
誰も彼もが面会に来た主人公に対し、内容は認めるものの最終的に謝罪すらせず踵を返し去っていってしまうという悲しい流れは読んでいて胸糞悪いものがあります。
しかし逆の立場からすると、自分のやったタバコのポイ捨て程度の過ちが原因で子供が死んだと言われても、ただの言いがかりとしか思えないから当然なんですよね。
主人公は自分もポイ捨て程度の悪事をしていた事実に震えガッツリ凹みますが、最終的に年月はかかったものの立ち直る描写があることが救いです。